阪神大震災から9年経った。私はその瞬間、大阪のH市というところの古い一戸建て住宅の一階で、お正月撮り溜めていたドラマを、ヘッドホンをして夜通し見ていた。夫は九州に出張していて居なかった。ヘッドホンをしていても、身体で感じるほどのものすごい地鳴りがして、それはまるで地球の終りかとおもうほどで、愛犬を抱えて、歩く事もできない揺れの中、途方にくれた。震源地や神戸や阪神間の被害については、ご存知の通りで、とても胸が痛んだ。
あれからしばらく夜眠る事ができなくなってしまった。そして、眠る時には、枕元に避難用のリュックとスニーカーを置いて眠っていたというのに。月日が経つにつれ、それすらやっていない現在がある。時間が経って記憶が薄れるということは、それは人間の大切なひとつの薬でもある。つらいままの状態で生きていくにはきつい。でもあの日の記憶が蘇るこんな日には、その時思った事、忘れてはいけない事、ちゃんと思い出していきたいと思う。